各パーツの適正温度管理と騒音対策

パソコンで高負荷の処理(ゲームや編集処理など)を行っていると、ファンが唸りだしてうるさかったり、逆に温度管理が適切に行われているのか心配になります。今回はとくに熱源となりやすい、CPU、グラフィックボード、M.2SSDに絞って検証・解説していきます。

各パーツの温度の調べ方について

CPUやグラフィックボード、M.2SSDの温度の調べ方については色々やり方がありますが、フリーのソフトウェアをインストールしてしまうのが一番簡単です。私がよく使うソフトウェアは「CPUID HWMonitor」というものになります。

CPUID HWMonitor  https://www.cpuid.com/softwares/hwmonitor.html

こちらのソフトをインストールして起動すると下記のような画面が表示されると思います。

HW Monitor 起動画面

ここの画面上に、それぞれの型番や温度()、クロック数、使用率、ファン回転数など色々な情報が確認できます。

各パーツの適正温度について

適正温度につきましては、メーカーが発表しているものではなく一般的に言われている、あるいは私がこの数値を下回るように意識しているものとなりますので参考程度としてください。また、限界温度については、その温度を超えると性能低下や故障リスクを抱える温度上限となります。

項目適正温度(通常時)適正温度(高負荷時)限界温度
CPU50℃未満70℃未満100℃
グラフィックボード50℃未満80℃未満105℃
M.2 SSD40℃未満50℃未満60℃

また、冷却性能は室内温度にも影響を受けますので、室内温度管理を27℃未満で行うことをおすすめします。

CPUの冷却と騒音対策

CPUはハイエンドの処理性能の高い物になればなるほど発熱量があがり温度管理が難しくなります。

対策方法メリットデメリット・注意点難易度
冷却ファンの回転数を上げる追加コストをかけずに対策ができるファンの回転数が上がる為、騒音が発生しうるさくなる。
冷却性能の高いファンへ変える静音性をある程度担保しつつ高い風量を確保できる数千円のパーツ費用が発生する。
1000円〜4000円程度
簡易水冷クーラーや大型CPUクーラーへ換装する。
簡易水冷はラジエーターサイズ280mm or 360mm以上
静音性をある程度担保しつつ高い風量を確保できる。
高い冷却性能を得る。
ケースによっては装備できない場合がある。
CPUグリスを塗り直す必要がある。
パーツ費用が発生する。
5000円〜2万円程度
ミドルタワー以上の大型PCケースへ換装する。
(上記クーラー換装とセット推奨)
内部のエアフローが改善し、他のパーツによる温度低下を受けていない新鮮な空気をクーラーに送ることができる。
好みの見た目にできる。
ケースが大きくなるので置く場所を考える必要がある。
パーツ費用が発生する。
6000円〜2万円程度
中〜高
本格水冷化
(高難易度)
非常に高い冷却性能
見栄えの向上
本格水冷に関する様々な理解
半年に1度の冷却水入れ替え作業
パーツ費用の発生
3万円〜10万円程度

また、使用年数が2年以上の場合にはクーラーのホコリ清掃や、グリスの塗り直しも効果的です。

グラフィックボードの冷却と騒音対策

グラフィックボードの温度対策は、リスクを背負わないのであれば1通りしかありません。

対策方法メリットデメリット・注意点難易度
冷却ファンの回転数を上げる
(MSI AfterBurnerを利用)
追加コストをかけずに対策ができるファンの回転数が上がる為、騒音が発生しうるさくなる。

分解による故障リスク、メーカー保証損失などのリスクを許容できる場合には、いくつか方法があります。

対策方法メリットデメリット・注意点難易度
分解清掃、グリスの塗り直し追加コストをかけずに対策ができる購入当初の性能までしか戻らない
サーマルパッドの張替え冷却性能の向上
(RTX3000シリーズへは効果大)
騒音の低下
パーツ購入費用が発生。
数千円〜1万円程度
簡易水冷化
(NZXT KRAKEN G12を使用)
ラジエーターサイズ
280mm or 360mm以上
冷却性能の大幅向上
騒音の低下
ケースやGPUモデルによっては装備できない場合がある。
パーツ購入費用が発生。
2万5000円程度
中〜高
本格水冷化
(高難易度)
冷却性能の大幅向上
見栄えの向上
騒音の低下
本格水冷に関する様々な理解
半年に1度の冷却水入れ替え作業
パーツ費用の発生
4万円〜11万円程度

M.2 SSDの冷却と騒音対策

M.2 SSDは熱に意外と弱く、60度を超えると故障リスクが増えるとされています。また、実は簡易水冷との相性が悪く、温度が高くなってしまう要因の必要でもあります。

なぜ、M.2 SSDと簡易水冷の相性が悪いのか。

M.2SSDはグラフィックボードとCPUの間に板挟みになっている状況で、熱源に囲まれています。ただし、空冷CPUクーラーの場合にはSSDのすぐ上でエアフローを発生しているおかげで空気があまり滞留しません。しかし、簡易水冷モデルの場合には、背部のファン頼みとなり、空気の流れが非常に悪くな安いです。

対策方法メリットデメリット・注意点難易度
放熱フィンのついた銅製のヒートシンクへ交換する冷却性能の多少の増加
(2〜3℃)
パーツ費用の発生
2千円程度
熱伝導率の高いサーマルパッドへ交換する冷却性能の多少の増加
(2〜3℃)
パーツ費用の発生
2千円程度
ファンのついたヒートシンクへ交換する冷却性能の増加
(5℃〜10℃)
パーツ費用の発生
5千円程度
低〜中
120mmファンを直当てする
イメージはこちら
冷却性能の増加
(5℃〜10℃)
見栄えの低下
パーツ費用の発生
5千円程度
本格水冷化
(高難易度)
冷却性能の増加
(10℃以上)
見栄えの向上
本格水冷に関する様々な理解
パーツ費用の発生
数万円程度

まとめ

費用をあまりかけずに冷却性能を上げる方法はいくつかあり、ファンの回転数だけであれば室温が上がりやすい夏場だけ強めに設定し(多少の騒音は我慢し)、冬場に設定を元に戻す。なんてことも可能です。

改善方法に迷われているようでしたら一度お問い合わせ(Twitter、DM等でも結構です)いただければご相談にのります。